さまざまなダイエット法がある中、スポーツ愛好家やアスリートの中で流行している食事法が「ケトジェニックダイエット」です。
ケトジェニックダイエットを始めたいのですが、糖質量は何g摂るといいのでしょうか?
ケトジェニックダイエットは、糖質量を1日60g以下に制限して良質な脂質を摂取し、身体の中の体脂肪をエネルギー源とする身体に変えていくダイエット法です。
ケトジェニックダイエットは短期間で大幅な減量につながりやすく、効果を感じる方も多くいます。
しかし、医師の指示のもとで行う糖質制限とは違い、自己責任で行わなければなりません。
実践するなら、自炊がおすすめです。
この記事ではケトジェニックダイエットの糖質量はなぜ60g以下なのか、簡単に作れるメニューとチートデイのやり方、注意点などご紹介します。
ケトジェニックダイエットの糖質量は1日60g以下が正解
1日の糖質量は60g=主食(米やパンなど)を60g食べても良いということではありません。
ケトジェニックダイエットでは基本的に野菜や調味料から糖質をとります。
そのため、米やパン、麺類などの主食は食べられません。
ケトジェニックダイエットではカロリーではなく糖質量を制限するため、筋肉の分解を最小限に抑えられ、脂肪を効果的に燃やしてくれます。
また、ケトジェニックダイエットは、糖質以外の必須栄養素はしっかり摂取するため、身体のエネルギーが不足しません。
糖質量60g以下にするのはケトーシス状態にするため
ケトジェニックダイエットでは糖質量を減らして、身体をケトン体代謝に早く切り替えることが重要です。
糖質が身体の中で減り、身体がケトン体代謝に切り替わる状態を「ケトーシス」といいます。
ケトーシスになると、体脂肪をエネルギー源とする身体に変わるため、体重が減ります。
ケトーシスへ切り替えるためには徹底的に糖質量を減らすことです。
早い方は2日から3日でケトーシスへ切り替わります。
ケトーシスに移行するまでの最初の数日は、糖質量が30g以下になるように徹底することをおすすめします。
また、ケトーシスに切り替わってから糖質をたくさん摂ると、逆に太りやすくなりケトジェニックダイエットの失敗例となる可能性が高いです。
そのため、糖質量を守ることはとても重要なのです!
ケトジェニックダイエットと糖質制限との違い
糖質制限は、糖質の摂取量を抑える食事方法です。
一般的な糖質制限は1日の糖質量を120g以下としているので、ケトジェニックダイエットはそれよりもさらに糖質を抑えるダイエット法です。
ケトジェニックダイエットとは糖質、たんぱく質、脂質の摂取バランスを管理して取り組む食事方法です。
糖質制限とケトジェニックダイエットの大きな違いは、PFCバランス(糖質、たんぱく質、脂質の摂取バランス)を意識する必要があるかどうかです。
ケトジェニックダイエットには厳しい食事制限がありますが、実は意外と成功者が多いのです。
その理由が、「食事で満足感を得られるから」です。
糖質量に厳しい制限はありますが、肉や魚などのたんぱく質と脂質は摂取できます。
なにより良質な脂質を多く摂取しなければいけないため、物足りなさはあまり感じないのだそうです。
ケトジェニックダイエットを成功させる最大のポイントは、PFCバランスの計算をしっかりとすることです。
カロリーよりもPFCバランスが大事
一般的なダイエットでは1日の摂取カロリーを計算し、オーバーしないように細かく計算をする必要なことがあります。
ケトジェニックダイエットでは、糖質は10%、たんぱく質は30%、脂質は60%、バランスを意識すればよいので、カロリーにそこまで神経質になる必要がありません。
糖質を抑えることで、糖質をエネルギー源にしていた身体から脂肪をエネルギー源とする身体に切り替わっていきます。
食べすぎるのはダメですが、カロリーを毎回気にしたり、計算したりする手間がないのは大きなメリットです。
ケトジェニックダイエットを成功させるためには、糖質を抑えることが大切です。
具体的な数値は1日60g以下。
米やパン、麺類などは食べることができません。
必ず避けるようにしましょう。
ケトジェニックダイエット中は、たんぱく質をしっかりと摂りましょう。
ケトジェニックダイエットでは良質な脂肪を摂ることが重要ですが、ダイエットを成功させるためには、たんぱく質の摂取もとても重要です。
筋肉はもちろんですが、血液やホルモン、唾液などの消化液もたんぱく質が分解されたアミノ酸から作られています。
ダイエット中の方なら体重1kgあたり1.5g程度をめやすに摂取するのがいいでしょう。
体重50kgの方なら、1日75gほどです。
米やパン、麺類などの主食を抜く代わりに、肉や魚、卵、大豆などがメインの料理を増やすことをおすすめします。
脂質の量は1日の総カロリーの60%を目安に摂ることが重要です。
脂質をしっかりと身体にとり入れるために、良質な油を摂るのがおすすめです。
卵や肉、魚はたんぱく質が多いと思われがちですが、良質な油も多いので、積極的に摂りたい食材です。
MCTオイルは中鎖脂肪酸油で、ココナッツやパームに含まれる天然成分のみで作られたオイルなので積極的に摂るといいですね。
オリーブオイルや大豆油の長鎖脂肪酸とは成分が異なり、消化が早く、脂肪として蓄積されにくいのが特徴です。
料理に「ちょいかけ」することで簡単に良質な油が摂れます。
身体に合わない場合はすぐに中止しましょう
ケトジェニックダイエットは標準的な食事法ではないので、管理栄養士や医師のアドバイスを受けることができません。
どんなダイエットにもいえることですが、ケトジェニックダイエットは特に自己責任で行う必要があります。
持病のある方は、ケトジェニックダイエットを始める前に医師に相談してみてくださいね。
ダイエット開始後に体調不良になった場合も同様です。
持病のある方や体調不良の方が、自己判断でケトジェニックダイエットを行うことは危険なので必ず医師に相談して指示に従ってくださいね。
ケトジェニックダイエットが体質に合わないと自分で判断したら、無理せずに中止することをおすすめします。
ケトジェニックダイエットでは糖質を制限するため、セロトニンの分泌が低下する場合があります。
そのため、人によっては意欲低下や眠気などの症状が出ることもあるのです。
また、ケトインフルエンザのような症状が続く、便秘が治らないなど、ダイエットを継続することが難しい場合もあります。
健康を害しては意味がないので、体質に合わなければすぐにやめましょう。
開始すぐはケトインフルエンザとケトン臭に注意
ケトジェニックダイエットを続けていると「ケトインフルエンザ」と呼ばれる副反応を起こすことがあります。
ケトインフルエンザの具体的な症状は、頭痛・疲労感・筋肉痛・吐き気・下痢などです。
糖質は脳などの主要なエネルギー源であるため、摂取する糖質量が減ると脳などの機能低下が生じ、結果として頭痛などが発生するようです。
しばらくケトジェニックダイエットを続けていると身体が慣れ、症状は落ち着いていきます。
ケトジェニックダイエットをつづけていると、身体から「ケトン臭」とよばれる臭いが出ることがあります。
具体的には甘酸っぱいような臭いがするようです。
ケトン臭は脂肪が燃焼される際に出るケトン体の臭いです。
ケトン体は「アセトン」という物質を含んでいるので、特有の臭いがします。
身体がケトン体をエネルギーとして上手に使えるようになると、臭いがおさまるようです。
身体が慣れると臭いがおさまるなら安心ですね。
ケトン臭が出ない人もいるので、個人差があります。
ケトン体は酸性なので、海藻や緑黄色野菜などのアルカリ性の食材を摂ると臭いに効果的です。
ケトジェニックダイエットのメニューやおすすめ食材
比較的安価なご飯や麺などの糖質を減らし、肉・魚・野菜・卵などのたんぱく質や食物繊維などを増やすので、どうしても食費が高くなってしまいます。
市販の糖質オフ食品は割高なので、できれば自炊をするのがおすすめです。
短期間で痩せるものではなく、長期的に取組む必要があります。
ケトジェニックダイエットを始める前に、金銭的にも余裕を持った食事計画を立てるようにしましょう。
スーパーで買えるおすすめ食材6選を紹介
たんぱく質と脂質をバランスよく摂取できる肉、魚類、卵はケトジェニックダイエットにおすすめの食材です。
しかし、肉、魚類のすべてがよい訳ではないです。
スーパーでは、以下のようなものを選ぶのがおすすめです。
- 鶏のもも肉
- 鶏むね肉(オリーブオイルをかけたもの)
- 豚肩ロース
- たんぱく質と脂質のバランスがよく、スーパーで安く購入できることも多いのでケトジェニックダイエットにおすすめです。
- 鶏むね肉は脂質が少なめなので、ケトジェニックダイエットではオリーブオイルをかけて脂質をプラスするとよいですね。
- 牛の切り落とし
- 価格は上がりますが、たんぱく質、脂質どちらも摂取できるのでおすすめの食材です。
- 牛肉のカルニチンという成分は、脂肪燃焼を促進させる働きもあります。
- サーモン
- サバ
- DHA・EPAという脂質が多く含まれているので、ケトジェニックダイエットにはおすすめの食材です。
- 缶詰であれば値段も安くて長期保存もできます。
- 味噌煮などは糖質量が多いため、水煮タイプがおすすめです。
サバの水煮は肉よりも脂質が少ないです。
そのため、マヨネーズなどをつけて食べるのがおすすめです。
そのままの状態で食べたい方はたんぱく質と脂質のバランスがよいサーモンが向いています。
簡単にできる自炊メニューのおすすめ3種を紹介
スーパーで買える、おすすめ食材を使った簡単なメニューをご紹介します。
- 材料
(1人分)生サーモン・・・1切れ
オリーブオイル・・・大さじ2
おろしにんにく・・・1cm
塩・コショウ・・・適量 - 手順1フライパンでオリーブオイルとガーリックを熱する
- 手順2塩、コショウしたサーモンを両面焼く
- 付け合わせ茹でたほうれん草やキャベツがおすすめ
- 【エネルギー】1食あたり263kcal
【栄養素バランス】タンパク質15.7g 脂質22.4g 糖質0.2g
<味や工夫点など>
- 材料
(1人分)鶏もも肉 ・・・1枚
長ねぎ ・・・適量
鶏がらスープの素・・・小さじ1
コショウ ・・・少々
オリーブオイル・・・大さじ1と1/2
レモン汁・・・小さじ1 - 手順1ボウルに調味料を混ぜておく
- 手順2鶏もも肉を一口大に切って、ボウルの調味液に浸す
- 手順3中に火が通るまでフライパンで焼き、最後に調味液とみじん切りにしたねぎを加える
- 【エネルギー】263kcal
【栄養素バランス】タンパク質16.3g 脂質19.7g 糖質0.3g
<味や工夫点など>
- 材料
(2人分)ゆで卵・・・3個
ブロッコリー・・・1株
ツナ缶・・・1缶
マヨネーズ・・・大さじ3
しょうゆ・・・小さじ½
塩・コショウ・・・少々 - 手順1ゆで卵を食べやすい大きさに切る
- 手順2ブロッコリーを小房にして茹でる
- 手順3ゆで卵、ブロッコリー、ツナ缶、調味料を和える
- 【エネルギー】1食あたり128kcal
【栄養素バランス】タンパク質10.8g 脂質8.4g 糖質3.1g
この他にも簡単に作れるメニューがたくさんあるので、検索してぜひ作ってみてくださいね♪
コンビニでも買える間食におすすめの食品
一般的なダイエットでは、間食はNGな場合が多いと思います。
ケトジェニックダイエットでは1日のカロリーが足りていないなど、間食OKの場合があります。
コンビニで気軽に購入できるものをまとめてみました。
ぜひ、ケトジェニックダイエット中の間食として上手に取り入れてみてくださいね♪
水分や食物繊維はしっかり摂って便秘予防!!
野菜には食物繊維が多いので「ベジファースト」で食事をすると、血糖値の上昇を抑えたり腸内環境を整えたりしてくれます。
食物繊維を摂ると、便秘の予防にもなりますよね。
糖質を減らしてたんぱく質を増やすと便秘になりやすいため、水分と食物繊維を意識的にしっかりと摂りましょう。
ケトジェニックダイエット中は食物繊維が不足しやすく、便秘になりやすいので注意が必要です!
ケトジェニックダイエットに慣れると便通は改善することが多いのですが、中には便秘が続く方もいるかもしれません。
便秘予防のために水分をこまめに摂り、食物繊維は海藻類や豆類から摂ることをおすすめします。
食べるだけではなく有酸素運動すると効果的
おすすめはウォーキングやヨガなどの軽い有酸素運動です。
軽い運動はケトン体が出やすくなります。
心拍数が上がるほどの激しい運動をすると交感神経が刺激されて、「グルコジェニックモード」になりやすくなります。
グルコジェニックモードとは糖質をメインのエネルギー源としているので、ケトジェニックダイエット中は激しい運動は避けた方がいいでしょう。
ケトジェニックダイエット中はウォーキングやヨガなどを行いましょう。
ケトジェニックダイエットはチートデイで効果UP!!
ケトジェニックダイエットを始めてしばらくたつと、体重が思うように減らなくなってしまうことがあります。(停滞期)
しっかりルールを守っているのに、体重が減らないとモチベーションが下がってしまいます。
ダイエットを続けていると、身体が飢餓状態を避けようとして余計なエネルギーを消費しないようにする仕組みになっています。
せっかく頑張っているケトジェニックダイエットなので、停滞期も上手く切り抜けたいですよね。
そんなときはチートデイを取り入れるのがおすすめです。
チートデイ(cheat day)とは、直訳すると「だます日」という意味です。
チートデイは、ダイエット中の食事制限をいったん忘れて糖質を摂ってもかまいません。
「ダイエット中にたくさん食べると体重が戻ってしまうのではないか」と不安になる方もいると思います。
しかし、体重が減らなくなったときは、チートデイを取り入れることで逆に体重が減るようになります。
痩せない原因は身体が省エネモードになるから
私たちの身体は、「ホメオスタシス」という機能があり、身体の状態を一定に保とうとする性質があります。
ケトジェニックダイエットを続けていると糖質を制限する身体に慣れてしまい、代謝が落ちてしまうのです。
身体が「省エネモード」に入り、ダイエットを始めた頃のように脂肪燃焼ができなくなります。
このホメオスタシスにより、体重がなかなか減らなくなってしまいます。
再び代謝のよい身体にするためにおすすめなのが、チートデイを取り入れることです。
チートデイを取り入れるのは体温が下がったときを目安にしてみてください。
体温が下がっている=代謝が落ちているということになるからです。
代謝が落ちている目安として、体温の変化を気にしてみてください。
具体的な体温の目安は、平熱より0.5~1度ほど低くなっているときです。
体温が低い日が数日続いたら、チートデイを取り入れてみましょう。
チートデイを取り入れて代謝機能を改善する方法
チートデイを取り入れて糖質を中心に大量のカロリーを摂取する事で、身体をチート(だますこと)します。
多くのカロリーを摂取することに身体が慣れた後、再びケトジェニックダイエットの食事に戻せばホメオスタシスを破る事ができます。
しかし、チートデイだからといって何でも自由に食べてよいわけではありません。
これまでの努力が無駄にならないためにも、正しくチートデイを過ごす事が重要です。
たんぱく質の摂取量を維持しながら糖質量を増やすことがポイントです。
ケトジェニックダイエット中は糖質を60g以下に抑えるのが目標なので、食べられる糖質量はかなり増えます。
チートデイの目的はケトジェニックダイエットをスムーズに行うためです。
お菓子やジャンクフードではなく、お米などの体に良い糖質を摂取するように心がけましょう。
まとめ
- ケトジェニックダイエットの糖質量は1日60g以下
- 糖質制限とケトジェニックダイエットの大きな違いは、PFCバランス(糖質、たんぱく質、脂質の摂取バランス)を意識する必要があるかどうか
- カロリーよりも糖質(P)は10%、たんぱく質(F)は30%、脂質(C)は60%という、PFCバランスが大事
- ケトジェニックダイエットは一般的な食事療法と異なるため、体質に合わないと判断したら、無理せずに中止しよう
- ケトジェニックダイエットを始めてすぐの時期は、ケトインフルエンザとケトン臭に注意!
- ケトジェニックダイエットにおすすめの食材は、たんぱく質と脂質をバランスよく摂取できる肉、魚類、卵などがあり、スーパーで購入可能
- 間食はコンビニ商品でも脂質・たんぱく質の多いものを選ぶなどして、上手に使おう!
- 便秘予防のために水分と食物繊維(野菜など)をしっかり摂ることが大事
- ホメオスタシスにより、体重がなかなか減らなくなってしまうことがあるので、チートデイをうまく取り入れると効果UP
この記事では、ケトジェニックダイエットの1日の糖質量や簡単に作れるメニューなどをお伝えしました。
話題になっているケトジェニックダイエットですが、糖質量に気をつけると意外と難しくなさそうですよね。
スーパーやコンビニの商品をうまく使って、実践してみてくださいね♪